オールドインペリアルバー | 今宵の勝負レストラン

今宵の勝負レストラン

東京限定!ちょっとエッチな大人のレストランを紹介します。




オールドインペリアルバー
ジャンル:バー
予算@¥2,500~¥4,500
先日、小生が尊敬してやまない元帝国ホテル総料理長の村上信夫氏が亡くなった。美味しい料理は、勝負師にチャンスと夢を与えてくれる。彼は料理の水にもこだわるプロ中のプロであり、我等勝負師にとっては、ある意味第2の父親のような存在でもあった。今日はそんな彼に哀悼の意を捧げ冥福をお祈り申し上げるとともに、このバーを紹介したい。
建築史上不滅の名声を誇るフランク・ロイド・ライト設計による帝国ホテルの旧本館。【オールドインペリアルバー】。旧帝国ホテルの面影を現在に伝える、東京では唯一の場となってしまった。入口の大谷石や壁のテラコッタは当時のままであり、壮麗にして優美と語られた良き20年代の全貌を偲ばせ、世界の建築芸術史上に傑作として名を残す建築物ともいえる。ホテル界の名門、帝国ホテルのメーン・バーというと、いささか敷居が高い気もするだろう。だが実は毎日昼の11時30分からランチもあり、極めて便利なバーである。サンドイッチとビールのセットがあるのだが、さすが名門ホテルなだけあり素晴らしく上質だ。しかしそんな使い勝手の良いバーも夕方からは雰囲気が一変し、紳士淑女の集まるシックなムードとなる。酒も基調な蔵出しの酒や伝統のカクテル、既に手に入らない貴重銘柄も多く、通にとっても魅力的だ。またバーのマッチも当時そのままの懐かしい絵柄である。
昨今、外資系ホテルの進出で贅沢で素敵なバーは確かに増えている。それに比べれば、華美な部分の無いオーソドックスなホテルのバーに感じるだろう。だがこれはあくまでも小生の見識だが、どんなに費用をかけても、この独特な雰囲気のあるバーは創れない。なぜならここは帝国ホテルの歴史と伝統と威厳が融合して創られているバーだからだ。「さよならの言葉をどうきりだそうか。」とバーの片隅で物思いに沈む紳士。傍らにカクテル「ラストキッス」。そんな雰囲気が似合う大人の場所だ。(鱈)